昔テレビの情報番組で、お風呂の後のタオルをずっと換えないと、細菌が爆発的に増えるというような内容が放映されていたことがあった。私はずっと、お風呂に入った後の綺麗な体を拭くのだからと、一週間くらいタオルを替えずにいたのだが、その番組を見てからというもの、二日に一度は換えるようにしている。それから別の日には、トイレットペーパーは最低でも16層にして拭かないと手にばい菌がつく、というような内容が放映されていたことがあった。それ以来、私はトイレットペーパーを手に何重にも巻きつけて、それから拭くようにしている。私が産まれた頃はちょうど抗菌ブームだったそうで、その頃の抗菌イズムが身に沁みついてしまっているのかもしれない。とにかく私は、ばい菌とか細菌とかって聞くと、何か得体のしれないゾワゾワしたものが体に直接やってきて、やがて私たちを覆い尽くしてしまうんじゃないかいうと想像を働かせてしまうのだ。

だけどそんな私の抗菌イズムがかえって部屋を汚してしまう事態が起きた。夜中にトイレに行ったとき、いつものように手にトイレットペーパーを何重も巻き付けたのだが、うとうとしていたこともあって、いつもよりも量が多くなってしまったらしく、流した時に詰まらせてしまい、トイレの水漏れで大惨事になってしまったのだ。気づくと辺り一面、粉々になったトイレットペーパーが水浸し状態で広がってしまっていた。あんなにも細菌やばい菌には気をつけていたというのに…私は恥ずかしさと嫌悪感で吐き気が止まらなくなってしまった。

結局自分で片づける勇気がなかったので、その日は友人の家に泊まらせてもらい、業者とお掃除のプロを呼んでトイレ修理とトイレ掃除をお願いしたのだった…。